ソーホーのマルクス―マルクスの現代アメリカ批評


マルクスが90年代によみがえり、独白するひとり芝居の戯曲。当時のアメリカの富の集中、湾岸戦争をはじめとした公共事業としての戦争体質を批判。返す刀で国民の窮乏と言論弾圧、粛清を繰り返したソ連に一撃を加える。生前居住し、資本論を書き上げたロンドンのソーホーではなく、あの世の官僚の粗雑な仕事により、ニューヨークのソーホーに降りてきてしまったという舞台設定も、どこか皮肉が効いている。夫人との家庭問題、バクーニン、デュ―リングらとの論争癖などを、ユーモアを交えて語る「マルクス主義者」ではないマルクスの復活により、冷戦に完膚なきまでに決着がついた現代に、未分化でダイナミック、可能性に満ち、未だアクチュアリティを失わないマルクスの存在を提示した。劇としては若干平板な気もするのだが、当時の米国の劇場で行う芝居と考えるとインパクトは相当なものなのだろう。


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