聖と狂: 聖人・真人・狂者 (シリーズ・キーワードで読む中国古典) 法政大学出版局


 

聖と狂: 聖人・真人・狂者 (シリーズ・キーワードで読む中国古典)

中国思想の根幹にある絶対的な存在が「天」。しかし天はもの言わず、意思を自ら示さない。そこで天を代弁するのが聖人である。天が司っている自然法則を読み取り、火を使い、道具を作り、そして人を治め、国を作る。王朝交代は王が天から見放され、新たな聖人に登場したものだと正史が編まれた。

つまり聖人は宗教者であり、為政者であり、また科学者であり思想家だ。

しかし当然ながら、聖人も生身の人間である。神話時代ならいざ知らず、時代を経るごとに実在の人間に聖人の称号を与えるのが困難になる。政治的に王ではなかった孔子は聖人なのだろうか、といった問題も発生したりする。

本書は、そんな「聖人」概念について、儒家、墨家、道家、朱子学や陽明学が、どのように捉えていたのか、文献をもとに捉える。また、道家・道教が理想とする「真人」についても、漢字の起こり、俗世を離れる仙人の理想、秦の始皇帝の「不老不死」への希求などをからめて探究する。

聖人は知識人であるのは当然だが、学ぶことで達することができるものではない。本で学べば学ぶほど真理からは遠のくという反知性的?な文化は各地にあるけれども、中国でもまた聖と知性の関連はつねに揺らぐ。そこで見え隠れするのが、天衣無縫な振る舞いで価値を紊乱、変革のきっかけを与える「狂者」の存在だ。

本書では、狂者を軽視する立場、聖に近づく存在とする立場、両極がつながるように表裏一体であるとの考えなど、聖と狂の思想の変遷を解説。狂を重視する仏教(禅)の影響、『狂人日記』の魯迅など、近現代までの思想の系譜を分析。西洋キリスト教的な政教分離、あるいはイスラームとの比較で考えてみても面白い。

中古市場でも注目。絶版ではなく新品もあるが、すでに中古のほうが高い。中古価格は2020年5月現在6020円。同シリーズ『キーワードで読む中国古典』のほかの書籍も高値を付けているものがある。

 

単行本: 264ページ
出版社: 法政大学出版局
ISBN-10: 4588100335
ISBN-13: 978-4588100338
発売日: 2016/3/23


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。